明治日本の産業革命遺産(めいじにほんのさんぎょうかくめいいさん)は、
などが評価され、2015年、文化遺産に登録された。
構成資産は、岩手県から鹿児島県にまたがる次の8エリアに点在する幕末の1850年代から明治末期の1910年までの23資産(*印は非公開)。
登録地域の面積は、構成資産 306.66ヘクタール、それを保護する緩衝地帯 2,408.33ヘクタール。
萩(5)登録地域の面積は、構成資産307ヘクタール、それを保護する緩衝地帯 2,408ヘクタール。
登録名称は「明治日本の産業革命遺産-製鉄・製鋼、造船、石炭産業」、国内で19番目の世界遺産(文化遺産としては15番目)になった。産業遺産としては石見銀山遺跡とその文化的景観、富岡製糸場と絹遺産群につづく3番目の登録、重工業分野における産業遺産としてはわが国では初の登録。
23資産のうち8資産が現役で稼働中であり、それらは文化財保護法でなく景観法や港湾法などで保護される。
登録に際し、韓国から「日本が植民地支配していた時代に7施設で強制徴用があった」として登録に反対する声があがり政治問題化しました。
もともと本件は、「九州・山口の近代化産業遺産群」として地元自治体主導で登録が進められてきましたが、その後、全国規模になり名称が「明治日本の産業革命遺産」と変更されました。明治時代は、急速な近代化のもと日本の軍事大国化への基礎が築かれた時代であり、それが日本の朝鮮半島への侵略、韓国の植民地化につながったことを考えると、「明治日本」を冠した名称は刺激的すぎたと思われます。
またユネスコへの推薦に際しても、官邸主導で、準備が進んでいた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」との登録順位を逆転させての推薦でしたから、政権の国威発揚のねらいが感じられました。これも政治問題化させる要因になったと思われます。
複数の構成資産を複合体として登録するシリアル・ノミネーション・サイト、世界遺産リストの不均衡を是正するために導入された選考方針で、個々の構成資産に世界遺産としての価値が認められなくてもストーリーに顕著な普遍的な価値が認められば世界遺産になるというものです。構成資産はストーリーを証明するための後付け物件のようなものです。
構成資産になっている三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンは、日本初のクレーンといっても英国からの輸入品です。端島炭鉱といっても、炭鉱施設の多くは閉山時に破壊されていて登録されているのは坑口など生産施設跡と明治期に造られた護岸遺構だけです(軍艦島と呼ばれる景観をなす高層アパート群は大正期以降の建造で登録されていない)。萩城下町や松下村塾などは、明治日本の近代化の中で政治家になった人物を輩出しているものの産業革命とは関係なく、ストーリーを描いて強引に関係付けたものにすぎません。
イコモスの評価結果及び勧告について(内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室)
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県)
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(熊本県)
JR山陰本線・東萩駅~萩反射炉
JR鹿児島本線・鹿児島駅~旧集成館
伊豆箱根鉄道駿豆線・伊豆長岡駅~韮山反射炉
JR釜石線・釜石駅~橋野鉄鉱山・高炉跡
JR長崎本線・長崎駅~小菅修船場跡~三菱長崎造船所旧木型場
JR鹿児島本線・大牟田駅~三池炭鉱宮原坑
JR鹿児島本線・荒尾駅~三池炭鉱万田坑 など