北海道・北東北の縄文遺跡群

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北黄金貝塚（きたこがねかいづか）

縄文時代前期（約6000年前～5000年前）の貝塚と水場遺構を中心とした集落遺跡。貝塚、住居跡、墓、鹿用落とし穴、盛土遺構、水場の祭祀場などが確認されている。写真は見学用に復元された貝塚、当時のものは同じ場所の地中に保存されている。

北黄金・竪穴住居（たてあなじゅうきょ）

発掘された竪穴住居跡の上に3棟が復元されている。縄文時代中頃の住居跡で、丘の上にあった生活の場所を湧き水の近くに移したと考えられている。

三内丸山遺跡（さんないまるやまいせき）

縄文時代前期中頃～中期（約5500年前～約4000年）にかけて定住生活が営まれた大規模な集落遺跡。竪穴住居、大型竪穴住居、掘立柱建物、大型掘立柱建物、道路、盛土、墓、土器作りのための粘土採掘穴などが確認されている。

三内丸山・大型竪穴住居（おおがたたてあなじゅうきょ）

復元された大型竪穴住居の内部。大型竪穴住居としては最大のもので、長さ約32ｍ、幅約10ｍ。集落の中央付近から見つかったことから、集会所、共同作業所、共同住宅に使われていたなど諸説ある。長さ10ｍ以上の大型竪穴住居跡は10数棟確認されている。

三内丸山・竪穴住居（たてあなじゅうきょ）

復元された竪穴住居、地面を掘り込んで床を造った縄文時代の住居。住居の平面形や柱の配置、炉の位置や構造は時代によって変化が見られる。屋根の材料は茅、樹皮、土などがある。竪穴住居跡は550棟以上確認されている。

三内丸山・掘立柱建物（ほったてばしらたてもの）

復元された掘立柱建物、地面に穴を掘り柱を立てて造った建物。高床の建物と推測されることから高床の倉庫として復元されている。

大湯環状列石（おおゆかんじょうれっせき）

縄文時代後期（約4000年前）の大規模な遺跡。火山灰の下から発見されたもので、発掘当時のまま展示されている。周囲には、列石を取り囲むように掘立柱建物、土抗、貯蔵穴などが同心円状に確認されている。写真は万座環状列石（直径52m）と周辺に復元された掘立柱建物。

大湯・日時計状組石（とけいじょうくみいし）

環状列石の内帯と外帯の間に置かれている組石。環状列石の中心と日時計状組石の中心を結ぶ直線は「夏至の日の入」の方向と一致している。写真は、野中堂環状列石（直径44m）に置かれている日時計状組石（右側の小さな円形状の組石）。

概要

北海道・北東北の縄文遺跡群（ほっかいどう・きたとうほくのじょうもんいせきぐん）、

1. 人類史上まれな農耕以前の定住社会と豊かな精神文化が育まれていたことの物証であること
2. 長期間にわたり継続した採集・漁労・狩猟を基盤とした定住社会の変遷を網羅していること

構成資産は、縄文時代の各時期（草創期、早期、前期、中期、後期、晩期）における人々の生活跡の実態を示す遺跡（集落跡、貝塚、低湿地遺跡）や、祭祀や精神的活動の実態を示す記念物（環状列石、周堤墓）など次の17遺跡。

1. 大船遺跡（おおふねいせき）
2. 垣ノ島遺跡（かきのしまいせき）
3. キウス周堤墓群（きうすしゅうていぼぐん）
4. 北黄金貝塚（きたこがねかいづか）
5. 入江貝塚（いりえかいづか）
6. 高砂貝塚（たかさごかいづか）

7. 三内丸山遺跡（さんないまるやまいせき）
8. 小牧野遺跡（こまきのいせき）
9. 大森勝山遺跡（おおもりかつやまいせき）
10. 是川石器時代遺跡（これかわせっきじだいいせき）
11. 田古屋野貝塚（たごやのかいづか）
12. 亀ヶ岡石器時代遺跡（かめがおかせっきじだいいせき）
13. 大平山元遺跡（おおだいやまもといせき）
14. 二ッ森貝塚（ふたつもりかいづか）

15. 御所野遺跡（ごしょのいせき）

16. 大湯環状列石（おおゆかんじょうれっせき）
17. 伊勢堂岳遺跡（いせどうたいいせき）

登録地域の面積は、構成資産 141.9ヘクタール、それを保護する緩衝地帯 984.8ヘクタール。

狩猟・採集・漁労をなりわいとして定住生活をしてきた遺跡群

北海道・北東北の縄文遺跡群は、世界の他地域における農耕や牧畜を基盤とした同時期の遺跡とは異なり、温暖湿潤な環境のもと 1万年以上にわたり狩猟・採集・漁労をなりわいとして定住生活をしてきた遺跡群である。
また、北海道南部と北東北では、津軽海峡を挟みながらも縄文時代前期から中期にかけての円筒土器文化、後期の十腰内文化、晩期の亀ヶ岡文化など、縄文文化全般を通じて同一の文化圏（津軽海峡文化圏）が形成されていた。

遺跡

遺跡とは、過去の人間の生活の痕跡が残っている場所のこと。遺跡の中で発見されたもののうち、動かすことが出来ない工作物や建築物、土木構造物、施設の痕跡などを「遺構」、動かすことができるものを「遺物」という。
遺跡の地上にある建造物は、発掘（はっくつ）調査などを基に、推測して復元したもの。地下に保存されてる「遺構」の部分が本物で、これが世界遺産に登録されている。

縄文時代

ほぼ1万3000年前に始まり1万年以上続いた縄文時代、氷河期が終わり温暖な気候になるにつれ、土器の使用が始まり定住化が進み、ムラや貝塚が出現した。特に縄文時代前期～中期は、気温は2℃ほど高く温暖で、海面は4～5ｍ高かったと考えられている。世界に先駆けて生みだされた土器は黒褐色をした厚手の土器で、表面に縄を転がして文様（縄文）が付けられていた。
世界史では中石器時代ないし新石器時代に相当する時代。海外では、黄河流域には黄河（中国）文明、インダス川流域にはインダス文明、ナイル川流域にはエジプト文明、ティグリス・ユーフラテス川流域にはメソポタミア文明が生まれている。

縄文文化

縄文時代の文化（縄文文化）は、森や海、河川の豊かな資源を利用するための技術や道具類も飛躍的に発達、石鏃（せきぞく＝矢じり）や石匙（いしざし＝刃物）などを生み出した。これらの多くは素材を変えながら現代においても使用され、我が国のさまざまな産業の発展の礎を築いたものといえる。
縄文人は現代人の直接の祖先、現代生活の中には、その起源を縄文時代にまで遡って考えることができるものがある。縄文人の平均身長は男性約157cm、女性は約10cm程小柄。縄文人は現代人の直接の祖先と考えられる。

貝塚（かいづか）

一般的には「貝殻や獣や魚の骨など食料の残滓、破損した土器や石器などの道具類、焼土や灰などが一緒に捨てられている場」とされていたが、北黄金貝塚は貝殻や動物の骨などと共に人の墓が確認されていることから、すべての生き物の墓地であり感謝と祈りをささげる場所だったと考えられている。

環状列石（かんじょうれっせき）

100基以上の配石遺構の集合体で外帯、内帯とよばれる二重の環状列石で構成されている。外帯と内帯の間には「日時計状組石」が置かれている。配石遺構は「配石墓」、環状列石は「集合墓」であり、葬送儀礼や自然に対する畏敬の念を表す儀式を行った「祭祀施設」であったと考えられている。