登録に際し、韓国から「日本が植民地支配していた時代に7施設で強制徴用があった」として登録に反対する声があがり政治問題化しました。
もともと本件は、「九州・山口の近代化産業遺産群」として地元自治体主導で登録が進められてきましたが、その後、全国規模になり名称が「明治日本の産業革命遺産」と変更されました。明治時代は、急速な近代化のもと日本の軍事大国化への基礎が築かれた時代であり、それが日本の朝鮮半島への侵略、韓国の植民地化につながったことを考えると、「明治日本」を冠した名称は刺激的すぎたと思われます。
またユネスコへの推薦に際しても、官邸主導で、準備が進んでいた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」との登録順位を逆転させての推薦でしたから、政権の国威発揚のねらいが感じられました。これも政治問題化させる要因になったと思われます。


複数の構成資産を複合体として登録するシリアル・ノミネーション・サイト、世界遺産リストの不均衡を是正するために導入された選考方針で、個々の構成資産に世界遺産としての価値が認められなくてもストーリーに顕著な普遍的な価値が認められば世界遺産になるというものです。構成資産はストーリーを証明するための後付け物件のようなものです。
構成資産になっている三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンは、日本初のクレーンといっても英国からの輸入品です。端島炭鉱といっても、炭鉱施設の多くは閉山時に破壊されていて登録されているのは坑口など生産施設跡と明治期に造られた護岸遺構だけです(軍艦島と呼ばれる景観をなす高層アパート群は大正期以降の建造で登録されていない)。萩城下町や松下村塾などは、明治日本の近代化の中で政治家になった人物を輩出しているものの産業革命とは関係なく、ストーリーを描いて強引に関係付けたものにすぎません。


写真は2009年~2015年撮影。

該当する登録基準

  1. 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
  2. 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

関連資料

推薦概要(文化庁)

イコモスの評価結果及び勧告について(内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室)

関連サイト

文化遺産オンライン(文化庁)

明治日本の産業革命遺産(産業遺産国民会議)

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(福岡県)

大牟田市の近代化産業遺産(大牟田市)

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(熊本県)

明治日本の産業革命遺産(長崎県)

尚古集成館

関連書籍

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JR鹿児島本線・大牟田駅~三池炭鉱宮原坑

JR鹿児島本線・荒尾駅~三池炭鉱万田坑 など

 

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