知床 - 日本の世界遺産
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知床(しれとこ)は、
などが評価され、2005年、自然遺産に登録された。
登録地域は、陸域だけでなく沖合3キロメートルまでの海域を含む地域で、その面積は、緩衝地帯を含め 71,100ヘクタール。
知床の多くの地域は、遠音別岳(おんねべつだけ)から知床岬にかけての原生的な自然環境を有する陸域と、流氷が流れつき海洋生物が豊かな海域からなり、知床国立公園、遠音別岳原生自然環境保全地域、知床森林生態系保護地域、国指定知床鳥獣保護区などに指定され、複数の保護区で保護されている。
知床半島は、古い時代(860万年~200万年)の海底火山による噴出物で作られた地層の上に、その後の陸上火山活動による隆起と噴火による溶岩の流出により形成された。
その結果、半島の中央部には、山の中腹から上だけが顔を出すような知床連山が半島を東西に分断するように連なり、オホーツク海に面するウトロ(宇登呂)側と根室海峡に面するラウス(羅臼)側では地形や気温、降水量などが大きく異なる。
オホーツク海側の海岸線は、陸上火山活動による噴出物が波浪と流氷で侵食され高さ80mもの「海食崖(かいしょくがい)」と呼ばれる険しい断崖が続いている。
知床半島には、500年ほど前に噴火した羅臼岳(らうすだけ)と、現在でも新噴火口で噴煙を上げている硫黄山(いおうざん)の2つの活火山がある。硫黄山新噴火口の近くには温泉の川として知られるカムイワッカ川が流れている。
ユーラシア大陸を流れるアムール川の淡水がオホーツク海に流れ込み、塩分の薄い層をつくり、海水温の低下で凍り始まる。結氷した氷は大きく成長しながら流氷として海流や北西の季節風で南下し、北海道のオホーツク海沿岸に達する。接岸した流氷は、潮の流れや風向きによって流され、姿を消したり再接岸したりする。
流氷=水面を漂流する氷のことで、オホーツク海沿岸で見られる流氷は、川の水が凍って生じる河川氷に海面温度の低下で海水が凍って生じる海氷が含まれる。北緯44度の知床は、北半球ではもっとも低い緯度で特定の季節でのみ海水が氷結する季節海氷域にあたる。
知床はアイヌ語でシリエトク(地の果て)。知床には、国策により戦前から戦後にかけ3次にわたる開拓団が送り込まれたが、開拓団が入れたのはほんの一部。知床の地は農業に適さず、人が生活するにも厳しすぎ全戸が離農せざるを得なかった。現在も道路は半島の半ばまでで知床岬の周辺は無人地帯・・・・・人を寄せ付けない地形と厳しい気候が豊かな自然を残してくれた。
開拓団が開拓を試みた跡地は、日本列島改造ブームで乱開発の危機に瀕したが、斜里町は全国に寄付を募り開拓跡地を買い取るしれとこ100平方メートル運動で全てを保全。その後も林野庁による国有林伐採計画に反対、知床の森林を「木材生産の森林」ではなく「原生的な自然を保護すべき森林」として、知床の自然を守りぬき、世界遺産への登録につなげてきた。
パークガイド知床(自然公園財団)
JR釧網本線・知床斜里駅~(斜里バス・知床線)~ウトロ~知床峠~羅臼
女満別空港~(知床エアーポートライナー )~ウトロ~知床峠~羅臼 など