日本の世界遺産 > 世界遺産用語解説


アイユーシーエヌ(IUCN)
International Union for Conservation of Nature and Natural Resources の略称、「国際自然保護連合」のこと。
1948年に各国政府、国際団体、民間自然保護団体によって設立された自然環境保全に関する非政府国際機関。各国から推薦された自然遺産の調査や評価を行い、世界遺産委員会に協力している。
1980年には日本国内に、IUCNに加盟する団体の連絡協議にための「IUCN日本協議会」が設立された。
イクロム(ICCROM)
International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Propertyの略称、「文化財の保存及び修復の研究のための国際センター」のこと。本部をローマに置くことから「ローマセンター」とも呼ばれている。
1959年にユネスコによって設立された国際的政府間機関で、学術的・技術的問題に関する研究や助言を行い、技術者の育成と修復作業の水準向上に援助を行っているる。
イコモス(ICOMOS)
International Council of Monuments and Sitesの略称、「国際記念物遺跡会議」のこと。
人類の遺跡や建造物の保存を目的として1965年に設立された国際的な非政府組織(NGO)。各国から推薦された文化遺産の調査や評価を行い、世界遺産委員会に協力している。
日本国内のICOMOS会員が組織する機関として「日本イコモス国内委員会」がある。
インテグリティ(integrity)
完全性(かんぜんせい)といい、全ての世界遺産に求められる概念で「完全であること」を意味する。世界遺産の顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素が全て含まれ、また長期的な保護のための法律などの体制が整えられていること。
文化遺産では、遺産の劣化がコントロールされていること、生きた遺産の特徴や機能が維持されていることなどが求められる。自然遺産では、生物学的な過程や地形上の特徴が比較的無傷であることが求められ、登録範囲内での人間の活動は生態学的に持続可能なものである必要がある。
MAB計画(エムエービーけいかく)
Man and the Biosphere Programme の略称、「人間と生物圏計画」という。1971年ユネスコが立ち上げた研究計画。人間と環境の関係を改善し、自然資源の持続可能な利用と保全を促進するための科学的研究および教育や研修を行う。MAB計画に基づいて「生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)」が設けられている。
オーセンティシティ(authenticity)
真正性(しんせいせい)、真実性(しんじつせい)といい、文化遺産に求められる概念で「本物であること」「真正であること」を意味する。文化遺産がもつ本物の芸術的、歴史的な価値のこと。修復などにおいては、材料・構造・工法の真実性が求められる。
かつては、建造された当時の状態がそのまま維持・保存されていることが重視されていたが、これは西欧の石の文化に基づくもので、日本やアフリカなどの木や土の文化には必ずしも対応していなかった。1994年に開催された「真正性に関する奈良会議」において「遺産の保存は地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などとの関係の中ですべきである(奈良文書)」とされた。文化ごと真正性が保証される限りは、遺産の解体修理や再建などが可能になった。

核心地域(かくしんちいき)
文化遺産および自然遺産を構成する資産(Property)のこと。コアゾーンとも言われていたが、2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、核心地域という呼称は資産(Property)という呼称に改められた。
緩衝地帯(かんしょうちたい)
登録資産を保護するためにその周囲に設けられる利用制限区域のことで、厳密には遺産の一部ではなく「顕著な普遍的価値」は有しない。バッファゾーン(Buffer Zone)ともいわれている。 世界遺産への推薦に際しては、資産(Property)の周辺に遺産を守るのに充分な緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることが求められる。
完全性(かんぜんせい)
integrity(インテグリティ)の和訳、全ての世界遺産に求められる概念で「完全であること」を意味する。世界遺産の顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素が全て含まれ、また長期的な保護のための法律などの体制が整えられていること。
文化遺産では、遺産の劣化がコントロールされていること、生きた遺産の特徴や機能が維持されていることなどが求められる。自然遺産では、生物学的な過程や地形上の特徴が比較的無傷であることが求められ、登録範囲内での人間の活動は生態学的に持続可能なものである必要がある。
記憶遺産(きおくいさん)
人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの記録物が登録されるもので、「世界記憶遺産」とも呼ばれているが、日本語の正式表記は「世界の記憶(せかいのきおく)」→「世界の記憶」参照。
危機遺産(ききいさん)
武力紛争や自然災害、大規模工事、都市・観光開発、密猟などによって危機に瀕している世界遺産のこと。重大な危機に直面している遺産については「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録され、保護、修復の対象になる。
代表的なものに「エルサレムの旧市街とその城壁(ヨルダン・ハシミテ王国)」、「バーミヤン渓谷の遺跡群(アフガニスタン)」などがある。 登録されている危機遺産は、2017年7月現在、54件。
危機遺産リスト(危機にさらされている世界遺産リスト)
重大な危機に直面している世界遺産(危機遺産)を保護、修復の対象にするために登録するリスト。「文化遺産」、「自然遺産」それぞれに登録基準が決まっている。
グローバル・ストラテジー(Global Strategy )
世界遺産リストの不均衡を是正し、世界遺産条約への信頼性を取り戻すための選考方針。世界遺産リストにおける「地域的」、「内容的」、「時代的」な不均衡の是正を目標とし、(1)地理的拡大、(2)産業関係、鉱山関係、鉄道関係の強化、(3)先史時代の遺跡群の強化 、(4)20世紀以降の文化遺産の積極的保護が挙げられている。
コアゾーン(Core Zone)
文化遺産および自然遺産を構成する資産(Property)のこと。核心地域ともいわれていたが、2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、コアゾーンは資産(Property)という呼称に改められた。
国際記念物遺跡会議(こくさいきねんぶついせきかいぎ)
International Council of Monuments and Sitesの略称、ICMOS(いこもす)ともいわれている。
1965年発足した遺跡や建造物の保存を目的とする世界規模の非政府組織(NGO)で、各国から推薦された文化遺産の調査や評価を行っている。
国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう)
International Union for Conservation of Nature and Natural Resources の略称、IUCN(あいゆーしーえぬ)ともいわれている。
1948年、各国政府、国際団体、民間自然保護団体によって設立された自然環境保全に関する非政府国際機関で、各国から推薦された自然遺産の調査や評価を行っている。

産業遺産(さんぎょういさん)
産業の近代化に貢献した遺産、通常は産業革命以後のものをさす。代表的なものに「エンゲルスベリ製鉄所(スウェーデン)」、「ダージリン・ヒマラヤ鉄道(インド)」などがある。
日本には「石見銀山遺跡とその文化的景観」、「富岡製糸場と絹産業遺産群」、「明治日本の産業革命遺産-製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」がある。
暫定リスト(ざんていりすと)
各国が5~10年以内に世界遺産への登録を目指す物件として世界遺産センターに提出するリスト。世界遺産に登録するためには、改めて推薦書を提出し審査を求める。
日本の場合、2017年7月現在、次の9件を暫定リストとして世界遺産センターに提出している。
  1. 武家の古都・鎌倉(神奈川県)
  2. 彦根城(滋賀県)
  3. 飛鳥・藤原の宮都と関連資産群(奈良県)
  4. 長崎の教会群とキリスと教関連遺産(長崎県)
  5. 北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県)
  6. 金を中心とする佐渡鉱山の遺産群(新潟県)
  7. 百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群(大阪府)
  8. 平泉の文化遺産-拡張登録(岩手県)
  9. 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(鹿児島県、沖縄県)

資産(しさん)
Property(プロパティ)の和訳。文化遺産および自然遺産を構成する資産、これまでのコアゾーンという呼称が改められたもの。文化遺産の場合は個別の文化財や遺跡、自然遺産の場合は公園保護区や生態系保護区をさす。
2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、コアゾーンという呼称は資産(Property)に改められた。
自然遺産(しぜんいさん)
顕著な普遍的価値を有する自然景観、地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息地などを含む地域のこと。
代表的なものに「グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)」、「グランド・キャニオン国立公園(アメリカ)」「ガラパゴス諸島(エクアドル)」などがある。
登録されている自然遺産は、2017年7月現在、206件。
自然環境保全法(しぜんかんきょうほぜんほう)
自然環境の保全を図るための基本方針や、特に自然環境を保全することが必要な地域(原生自然環境保全地域、自然環境保全地域など)について定めた法律(環境省所管)。
自然公園法(しぜんこうえんほう)
すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養、教化に資することを目的として、国立公園や国定公園などの自然公園について定めた法律(環境省所管)。
シリアル・ノミネーション・サイト(Serial Nomination Site)
「連続性のある遺産」のこと。文化や歴史的背景、自然環境などが共通する資産を、全体として顕著な普遍的価値を有する遺産として登録すること。構成資産をつなぐストーリーが重視され、個々の構成資産に顕著な普遍的価値を有していなくても全体として顕著な普遍的価値を有していれば登録される。
代表的なものとしては「ロワール渓谷(フランス)」、もともとは「シャンボールの城と領地」として登録されていたが、登録範囲が拡大されロワール川流域に広がる渓谷と130以上の城館が複合体として一つの物件で登録された。
真正性(しんせいせい)|真実性(しんじつせい)
Authenticity(オーセンティシティ)の和訳、文化遺産に求められる概念で「本物であること」「真正であること」を意味する。文化遺産がもつ本物の芸術的、歴史的な価値のこと。修復などにおいては、材料・構造・工法の真実性が求められる。
かつては、建造された当時の状態がそのまま維持・保存されていることが重視されていたが、これは西欧の石の文化に基づくもので、日本やアフリカなどの木や土の文化には必ずしも対応していなかった。1994年に開催された「真正性に関する奈良会議」において「遺産の保存は地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などとの関係の中ですべきである(奈良文書)」とされた。文化ごと真正性が保証される限りは、遺産の解体修理や再建などが可能になった。
生物圏保存地区(せいぶつけんほぞんちく)
Biosphere Reserve(バイオスフィア・リザーブ)の和訳。MAB計画の達成のため実施されている登録保護地区。生物圏保護区ともいわれている。自然と人間社会の共生に重点が置かれ、景観や生態系の保全、持続可能な経済と社会の発展、調査や教育研修の支援を達成するため、「核心地域」、「緩衝地域」、「移行地域」の3つの地域の設定が求められている。
日本国内ではユネスコエコパークと呼ばれ、2014年6月現在、志賀高原、白山、大台ケ原・大峰山、屋久島、綾、只見、南アルプスが登録されている。
生物多様性条約(せいぶつたようせいじょうやく)
正式名称は「生物の多様性に関する条約」。生物の多様性を包括的に保全し、生物資源の持続可能な利用を行うための国際的な枠組みに関する条約。1992年採択、1993年発効。日本は1993年に締結。締約国は、2015年10月現在、169か国。
世界遺産(せかいいさん)
世界遺産条約で「顕著な普遍的価値」を有すると認められた文化財や自然環境のこと。人類共通の財産として保護し、後世に伝えていくため世界遺産リストに登録されている。
条件を満たさなくなった場合は登録が抹消されることがある。2007年にはアラビアオリックス保護区(オマーン)、2009年にはドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)が抹消された。
2017年7月現在、167の国と地域に、1,073件(文化遺産832件、自然遺産206件、文化と自然の両方の価値を持つ複合遺産35件)が登録されている。日本からは20件(文化遺産16件、自然遺産4件)が登録されている。
世界遺産委員会
原則として毎年1回開催され、世界遺産の登録の可否、危機遺産リストの登録・削除や遺産のモニタリングや技術支援、世界遺産基金の運用などを審議する。
世界遺産委員会は、世界遺産条約を締結した国から選出された21か国によって構成、21ヵ国の任期は6年間、3分の1の7か国は2年に1回開催されるユネスコ総会で改選される。
世界遺産基金
ユネスコ世界遺産基金(Word Heritage Fund)の略、世界遺産リストに登録された遺産を保護するためにユネスコの信託基金として設立された基金。財源は、条約締約国に義務付けられた分担金と、個人や団体、法人からの寄付金で、世界遺産委員会が管理している。
世界遺産リスト
世界遺産に登録された物件のリスト。世界遺産への登録は、毎年1回開催される世界遺産委員会で審議される。
世界遺産条約
1972年ユネスコ総会で採択され、1975年に発効した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」。「文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存することが重要との観点から、国際的な協力及び援助の体制を確立すること」を定めている。
2017年7月現在、世界遺産条約締約国は193か国。日本は1992年、125番目の締約国になった(現在のリストではユーゴスラビア解体によって繰り上がり124番目となっている)。
世界遺産センター
ユネスコ世界遺産センター(World Heritage Center)の略、ユネスコ本部に設置された組織で世界遺産委員会の事務局の役割を担う。世界遺産委員会の運営、締約国への登録準備のアドバイス、各国から提出された暫定リストや推薦書の受理、情報公開や世界遺産のデータベース化などを行なう。
世界記憶遺産(せかいきおくいさん)
人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの記録物が登録されるもので、「記憶遺産」とか「世界記憶遺産」とも呼ばれているが、日本語の正式表記は「世界の記憶(せかいのきおく)」→「世界の記憶」参照。
世界ジオパーク
世界ジオパークネットワーク (GGN)が認定する「ジオパーク(大地の公園)」のこと。ユネスコの支援により2004年、世界ジオパークネットワーク (GGN) が設立され、ジオパークを審査して認定する仕組みが作られた。ジオパークとは、 地球活動の遺産を主な見所とする自然と親しむための公園。世界遺産は保護を目的とするためその地域の開発を禁止しているのに対し、ジオパークはその地域の振興のための開発を認めている。
2010年3月現在、ヨーロッパで35地域、アジアで27地域、オセアニアでは地域、南米で1地域の合計64地域が認定されている。日本からは2011年9月現在、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)、山陰海岸(京都府、兵庫県、鳥取県)、室戸(高知県)の5地域が認定されている。
世界農業遺産(せかいのうぎょういさん)
国連食糧農業機関(FAO)が認定する「世界重要農業資産システム(GIAHS)」のこと。2002年、地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利用のシステムを保全し次世代に継承する目的で創設された。通称「世界農業遺産」と呼ばれている。
2013年5月現在、アンデス農業(ペルー)、イフガオの棚田(フィリピン)、マサイ族の放牧(ケニア)、万年の伝統稲作(中国)など25地域が認定されている。日本からは2013年5月、トキと共生する佐渡の里山(新潟県)、能登の里山里海(石川県)など5地域が認定されている。
世界の記憶(せかいのきおく)
人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの記録物が登録される。「記憶遺産」とか「世界記憶遺産」とも呼ばれているが、文部科学省が2016年、日本語表記を外務省が採用してきた「世界の記憶」にしたことから、政府の統一表記となった。世界の記憶は、国際条約により登録されるユネスコの世界遺産や無形文化遺産とは異なり、国際条約はなくユネスコ世界記録遺産国際諮問委員会によって審査され、自治体や団体でも登録申請できる。審査は2年に1度行われる。
2015年10月現在、フランスの「人権宣言」、オランダの「アンネの日記」、ドイツの詩人ゲーテ直筆の作品や日記など348件が登録されている。日本からは「山本作兵衛が描いた筑豊炭田の記録画」、「慶長遣欧使節関係資料」、「舞鶴への生還」など5件が登録されている。

登録手続き(とうろくてつづき)
政府が世界遺産候補を「暫定リスト」として世界遺産センターに提出。暫定リストに記載された物件のうち、物件の保護措置など条件が整ったものについて、推薦書を世界遺産センターに提出する。
ユネスコ世界遺産センターは、文化遺産についてはICMOS(国際記念物遺跡会議)に、自然遺産についてはIUCN(国際自然保護連合)に現地調査を依頼。毎年開かれる世界遺産委員会で登録の可否が決定される
登録基準(とうろくきじゅん)
世界遺産に登録されるための基準、10の基準がある。登録基準(i)~(vi)の1つ以上を満たして登録された物件は文化遺産に、(vii)~(x)の1つ以上を満たして登録された物件は自然遺産に、双方の基準それぞれ1つ以上を満たして登録された物件は複合遺産になる。
  1. 人類の創造的才能を表す傑作である。
  2. 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
  3. 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも稀有な存在)である。
  4. 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
  5. あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存在が危ぶまれているもの)。
  6. 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
  7. 最上級の自然現象、又は類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
  8. 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
  9. 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
  10. 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅の恐れのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然生息地を包含する。

登録基準はさまざまな訳文があり、本サイトでは世界遺産と無形文化財 (文化遺産オンライン-文化庁)より引用した。
登録物件(とうろくぶっけん)
世界遺産リストに登録されている物件、2016年8月現在、1052件(文化遺産814件、自然遺産203件、複合遺産35件)
トランス・バウンダリー・サイト(Trans-boundary Site)
国境を越えて登録されている世界遺産のこと。
代表的なものとしては「ベルギーとフランスの鐘楼群」、もともとは「ベルギーの鐘楼群」として登録されていたが、その後フランス北部の鐘楼群も含め国境を越えて登録された。 2016年7月に登録された「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」も7か国にまたがる17資産が登録されているトランス・バウンダリー・サイトであり、大陸間をまたがって登録されているトランス・コンチネンタル・サイトでもある。

奈良文書(ならぶんしょ)
1994年に奈良市で開催された「真正性に関する奈良会議」において採択された文書。文化遺産においては、建造された当時の状態がそのまま維持・保存されていることが重視されて、日本やアフリカなどの木や土の文化には必ずしも対応していなかったが、奈良文書では「遺産の保存は地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などとの関係の中ですべきである」とされた。文化ごと真正性が保証される限りは、遺産の解体修理や再建などが可能になった。
日本ユネスコ国内委員会
ユネスコは政府機関であることから、加盟国内に政府の諮問機関としてユネスコ国内委員会が設置される。日本ユネスコ国内委員会は、文部科学省の中に事務局機能を置いている。
日本ユネスコ協会連盟
ユネスコ憲章の理念に則り、民間ユネスコ運動を推進することを目的に、1948年に設立された公益財団法人。世界寺子屋運動や世界遺産活動をはじめ、国際協力、ボランティア活動、青少年を対象とした活動などを行っている。
人間と生物圏計画(にんげんとせいぶつけんけいかく)
Man and the Biosphere Programme の略称、1971年ユネスコが立ち上げた研究計画。人間と環境の関係を改善し、自然資源の持続可能な利用と保全を促進するための科学的研究および教育や研修を行う。MAB計画に基づいて「生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)」が設けられている。

ハーグ条約
正式名称「武力紛争の際の文化財保護に関する条約、国際紛争や内戦から文化財を守ることを定めた条約。1954年オランダのハーグで採択されたことから「ハーグ条約」ともいわれている。締約国には、武力紛争時に文化財を攻撃対象としないことや国外への流失を防ぐことなどが義務付けられる。
1954年ユネスコ総会で採択、1956年発効した。日本は2007年に締結。2014年10月現在、締約国は126か国(アメリカ、イギリス、北朝鮮などは未締結)。
バッファゾーン(Buffer zone)
遺産を保護するためにその周囲に設けられる利用制限区域のこと。厳密には遺産の一部ではなく「顕著な普遍的価値」は有しない。「緩衝地帯」ともいわれている。 世界遺産への推薦に際しては、資産(Property)の周辺に遺産を守るのに充分な緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることが求められる。
負の遺産(ふのいさん)
人類の「負」の行為を記憶にとどめ、二度と同じ過ちを繰り返さないよう登録されている遺産の総称。世界遺産条約で定義されていないため、どの遺産を負の遺産とするかは諸説がある。
負の遺産としては、広島平和記念碑(日本)、アウシュヴィッツ強制収容所(ポーランド)、ゴレ島(セネガル)、ロベン島(南アフリカ)、ビキニ環礁(マーシャル諸島共和国)、囚人収容所遺跡群(オーストラリア連邦)などが挙げられている。
広島平和記念碑(原爆ドーム)の登録にあたっては、アメリカは「戦争関連施設は遺産リストに含めるべきでない」として反対、中国は「第二次世界大戦での日本の戦争責任」に触れ賛否を保留した。
複合遺産(ふくごういさん)
「文化遺産」と「自然遺産」の両方の価値を有する遺産。代表的なものに「マチュ・ピチュ(ペルー)」、「ウルル・カタ・ジュ国立公園(オーストラリア)」などがある。 登録されている複合遺産は、2017年7月現在、35件
武力紛争の際の文化財保護に関する条約
国際紛争や内戦から文化財を守ることを定めた条約、1954年オランダのハーグで採択されたことから「ハーグ条約」ともいわれている。締約国には、武力紛争時に文化財を攻撃対象としないことや国外への流失を防ぐことなどが義務付けられる。
1954年ユネスコ総会で採択、1956年発効した。日本は2007年に締結。2014年10月現在、締約国は126か国(アメリカ、イギリス、北朝鮮などは未締結)。
文化遺産(ぶんかいさん)
顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物、遺跡、文化的景観などのこと。代表的なものに「万里の長城(中国)」「メンフィスのピラミッド群(エジプト)」などがある。
登録されている文化遺産は、2017年7月現在、832件。
文化財保護法(ぶんかざいほごほう)
文化財を保護し、その活用をはかって国民の文化的向上に資するための法律(文部科学省所管)。1950年の制定により、それまでの国宝保存法、史跡名勝天然記念物保存法などは吸収され廃止となった。
文化財保存修復研究国際センター
International Centre for theStudy of the Preservation and Restoration of Cultural Propertyの略称、ICCROM(いくろむ)ともいわれている。1959年に発足した文化財保存に関する政府間機関で、学術的・技術的問題の研究助言を行い、専門家の育成と修復技術の向上を目指している。
文化的景観(ぶんかてきけいかん)
1992年に世界遺産の評価基準に加えられた文化遺産の概念で「人間が自然に働きかけて作り出した景観」のこと。これにより、従来の欧米的な文化遺産の考え方よりも柔軟に文化遺産を捉えることが可能になり、世界各地の文化や伝統の多様性の保護につながっている。
ニュージーランドの「トンガリロ国立公園」において世界で初めて文化的景観の価値が認められ、日本の世界遺産では「紀伊山地の霊場と参詣道」、「石見銀山遺跡とその文化的景観」で文化的景観の価値が認められた。

無形文化遺産条約(むけいぶんかいさんじょうやく)
正式名称は「無形文化遺産の保護に関する条約」、2003年のユネスコ総会で採択され、2006年に発効した。無形文化遺産を保護するために、国際的な協力および援助の体制を確立することを目的とした条約。日本は2004年に締結。締約国は、2015年10月現在、169か国。
無形文化遺産(むけいぶんかいさん)
「無形文化遺産保護条約(無形文化遺産の保護に関する条約)」に基づいて保護されている無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)。「世界無形文化遺産」とも呼ばれているが、世界を冠しない「無形文化遺産」が正式名称。無形文化遺産とは、人びとの慣習・描写・表現・知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間のこと。建造物など形があるもの(不動産)である世界遺産に対し、無形文化遺産は形にならない人間が持つ知恵や習慣などが対象になる。
各締約国から提出される個別提案案件を政府間委員会が決定し、危機一覧表(緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表)と、代表一覧表(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に記載される。世界遺産のような厳格な価値の評価基準はない。 日本からは2012年12月現在、能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、小千谷縮・越後上布(新潟県)、石州半紙(島根県)、日立風流物(茨城県)、京都祇園祭の山鉾行事(京都府)など21件が登録されている。

ユネスコ(UNESCO)
United Nations Educational, Scientific and Cultural Organizationを略してUNESCO、「 国際連合教育科学文化機関」のこと。1945年に創設された国際連合の専門機関の一つで、教育、科学、文化を通して国際協力を促進し、世界の平和と人類の福祉に寄与することを目的にかかげている。
重点的に推進する目標として「万人のための基礎教育」「文化の多様性の保護および文明間対話の促進」などを定め、識字率の向上や義務教育の普及のための活動、世界遺産の登録と保護などを実施している。
UNESCOは政府機関であり、加盟国内には政府の諮問機関としてユネスコ国内委員会が設置される。日本ユネスコ国内委員会は、文部科学省の中に事務局機能を置いている。
加盟国は2015年10月現在、195か国。日本は1951年、60か国目の加盟国になった。
ユネスコエコパーク
生物圏保存地区(Biosphere Reserve)のこと、日本国内ではユネスコエコパークと呼ばれている。ユネスコ人間と生物圏計画(MAB計画)における一事業として実施されている。自然と人間社会の共生に重点が置かれ、景観や生態系の保全する「核心地域」、核心地域を保護しつつエコツーリズムなどに利用する「緩衝地域」、人が暮らし自然と調和した発展をめざす「移行地域」が設定されている。2016年3月現在、120か国で669地域が登録されている。
日本国内では2017年6月現在、9地域(志賀高原、白山、大台ケ原・大峰山・大杉谷、屋久島・口永良部島、綾、只見、南アルプス、みなかみ、祖母・傾・大崩)が登録されている。
ユネスコ記憶遺産(ゆねすこきおくいさん)
ユネスコが推進する「世界遺産」、「無形文化遺産」と並ぶ遺産事業の一つで、「世界記憶遺産」とも呼ばれている。ユネスコ世界記録遺産国際諮問委員会によって、人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの記録物を対象に登録されるもの。「世界の記憶」「世界記録遺産」とも呼ばれている。世界記憶遺産は、世界遺産とは異なり、自治体や団体でも登録申請で、審査は2年に1度行われる。
2015年10月現在、フランスの「人権宣言」、オランダの「アンネの日記」、ドイツの詩人ゲーテ直筆の作品や日記など348件が登録されている。日本からは「山本作兵衛が描いた筑豊炭田の記録画」、「慶長遣欧使節関係資料」、「舞鶴への生還」など5件が登録されている。
ユネスコ憲章(ゆねすこけんしょう)
国際連合教育科学文化機関憲章の略。1942年、ロンドンで開催された連合国文部大臣会議で教育・文化に関する国際機関の設立が検討され、1945年11月連合国教育文化会議で44か国代表により採択された。前文以下15条よりなる。
ユネスコ憲章前文には、アトリー英首相(当時)が演説の中で述べた「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という有名な一節がある。この一節には「戦争を繰り返さないため、世界の各国は互いをよく知る必要がある」との反省が込められている。
ユネスコ憲章(前文)
この憲章の当事国政府は、この国民に代わって次のとおり宣言する。 戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。
ユネスコ総会
ユネスコ加盟国の代表によって構成されるユネスコの最高決議機関。通常2年に1回開催され、ユネスコの施策と事業方針案、予算案を審議し採択する。

ラムサール条約
正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」、水鳥の生息地として湿地およびそこに生息・生育する動植物の保全のために、湿地の適正な利用を促進する条約。1971年、イラン・ラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で採択されたことから「ラムサール条約」と呼ばれている。
条約は、水鳥の生息地としてだけでなく、人々の生活環境を支える重要な生態系として幅広く湿地の保全・再生を呼びかけるとともに、産業や地域の人々の生活とバランスのとれた保全を進めるため湿地の「賢明な利用(湿地の生態系を維持しつつそこから得られる恵みを持続的に活用すること)」を提唱している。 2016年11月現在、締約国は169か国、登録湿地数は2243か所。
日本は1980年に締結、2015年5月現在、50か所が登録されている。
 

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