奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島は
登録地域は、九州南端から約1200kmにわたって弧状に点在する琉球列島の一部で、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島に属する 5地域。
登録地域の面積は4万2,698ヘクタール(奄美大島1万1,640ヘクタール、徳之島2,515ヘクタール、沖縄島北部7,721ヘクタール、西表島2万822ヘクタール)、緩衝地帯の面積は2万4,467ヘクタール。これらの地域は、黒潮の南側に位置し暖かい黒潮の影響を受け、熱帯に次いで気温の高い亜熱帯地域になっている。
登録された地域は、イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナなど、IUCN(国際自然保護連合) のレッドリストの絶滅危惧種95種(そのうち75種は固有種)を含む陸生動植物の生息・生育地であり、その地史を反映し遺存固有種と新固有種の多様な事例がみられ、生物多様性の生息域内保全にとって極めて重要な地域となっている。
中琉球の奄美大島、徳之島及び沖縄島北部では、食肉性の中・大型哺乳類や定住性大型猛禽類等の高次捕食者がもともといないか、長期間欠落してきた。そのため遺存固有種を多く含む生物群集は、大型のヘビ類のハブを頂点とする生態系と、それに対する適応的な進化が見られる。
南琉球の西表島では、肉食獣であるイリオモテヤマネコが生息し、小規模な島の環境に適応した進化が見られる。
固有種=特定の地域に分布が限られる種、大陸などから隔絶されている島などで多く見られる。
遺存固有種=広く分布していた種が特定の地域に取り残された種(近隣地域に近隣種が分布していない)。アマミノクロウウサギ、ケナガネズミ、リユウキュウヤマガメなど。
新固有種=広く分布していた種が地理的にいくつかの集団に隔離され、新しい種や亜種になった種(近隣地域に近隣種が分布している)。クロイワトカゲモドキ、ハナサキガエル類など。
奄美大島(あまみおおしま)
島の約80%が森林で、年間3000mm以上もの大量の雨により、亜熱帯性常緑広葉樹林と熱帯系の樹林、シダ類などによる豊かな森に覆われている。安定した水量のある住用川河口には国内最北限のマングローブ林が広がっている。
大陸から離れた島に残された生物たちは、大陸や日本本土では絶滅したものの環境の変化に対応して生き残ったアマミノクロウサギや、島の条件に適応するために進化したアマミトゲネズミなどが生息している。
徳之島(とくのしま)
山岳地帯には、スダジイやオキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹が優占する原生林が広がりアマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミ、オビトカゲモドキ、トクノシマエビネなどが生息生育している。
沖縄島北部(おきなわじまほくぶ)
沖縄島北部のやんばる地区は約80%が森林で、亜熱帯性の多雨林に覆われている。最高峰の与那覇岳(標高503m)においては年間平均3,000mmもの降雨量により、豊かな森が広がっている。ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、オキナワトゲネズミなどの希少生物が生息している。
西表島(いりおもてじま)
沖縄県では沖縄本島に次ぐ2番目に大きな島(周囲約130km)、標高400mほどの山々が海岸線にせまり、島の90%が亜熱帯の原生林で覆われている。また大小合わせて約40の川が流れ、その多くの河口にはマングローブ林が広がっている。仲間川流域のマングローブ林は約160ヘクタール、日本に植生するマングローブ林の25%に相当する日本最大の面積を有している。
西表島には肉食獣であるイリオモテヤマネコが小規模な島の環境に適応進化し生態系の頂点に君臨し、カンムリワシ、アカヒゲ、セマルハコガメ、キシノウエトカゲなどが生息している。
世界の亜熱帯地域の多くは降水が少なくサバンナ、ステップ、砂漠などの草原や乾燥地帯になっている。しかし登録地域は、赤道直下から流れてくる暖かい黒潮と湿ったモンスーンの影響を受けて降水量が年間2500mm以上に達し、亜熱帯常緑広葉樹(亜熱帯照葉樹林)が広がる世界的にも稀で特異的な地域である。
マングローブとは熱帯や亜熱帯の河口汽水域で生育する常緑樹の総称。奄美大島ではメヒルギとオヒルギが分布し、西表島ではこれら2種に加えてヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシ、ヒルギモドキ、マヤプシキ、ニッパヤシの国内に分布する7種が全て見られる。
西表島の仲間川(なかまがわ)や後良川(しいらがわ)の河口部には国内では最大規模のマングローブ林が広がり、仲間川のマングローブ林は国の天然記念物に指定されている。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産一覧表記載推薦書(本文)
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産一覧表記載推薦書(付属資料)
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