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世界遺産とは

世界遺産とは、学術的にも芸術的にも「顕著な普遍的価値」を有する唯一無二の存在として認められた文化財や自然のこと、人類共通の宝物として保護し、後世に伝えていくため世界遺産リスト(世界遺産一覧表)に記載されている。

世界遺産は、人間が生み出してきた文化遺産(建造物、記念工作物、遺跡など)、地球が生み出してきた自然遺産(自然景観、地質学的に重要な地域、重要な生態系、絶滅危惧種の生息域)、文化遺産と自然遺産双方の価値を有する複合遺産に分類されている。

世界遺産リストには、2024年 7月31日現在、1223件が記載されている。内訳は、文化遺産952件、自然遺産231件、複合遺産40件。このうち、保存の危機にさらされている遺産(危機遺産)は、崩壊や略奪、盗掘の恐れがある「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン)」など56件。世界遺産条約締約国は195か国。
日本の世界遺産は、2024年 7月31日現在、26件(文化遺産は21件、自然遺産は5件)、国別ランキングでは11位。

人類共通の財産として保護し、後世に伝えていくという世界遺産の考え方は、エジプト・ナイル川のアスワン・ハイ・ダム建設計画により水没の危機にさらされたアブシンベル神殿などのヌビア遺跡群の救済を、ユネスコが世界に呼びかけ、多くの国々の協力で、移築し保護したことから生まれた。

世界遺産(World Heritage)には、価値を継承するという意味合いがあり、世界遺産の多くは現在の社会に息づいている。世界遺産は、過去の遺物ではなく、時代を超えて継承されてきた遺産であり、現代に生きる人々によって後世に継承されるべきものといえる。

世界遺産に接し、学ぶことで国境や民族を越えた文化や自然を知ることができ、それらを保護し、後世に伝えていく取り組みのなかで相互理解が生まれる。

ユネスコ憲章(前文)には「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と記されている。世界遺産に接し、学び、保護し、後世に伝えていくことは、ユネスコ憲章を具現化させる行動であり、国際平和に貢献するものといえる。


世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)
1972年に開催された第17回ユネスコ(国連教育科学文化機関)総会で採択され、1975年に発効した。
2023年 9月25日現在、世界遺産条約締約国は195か国。日本は1992年に125番目の締約国になった(現在のリストではユーゴスラビア解体によって繰り上がり124番目)。
普遍的価値
国境や民族を超え、時代を超えて将来にわたって人類に共通した重要性をもつ価値。
顕著な普遍的価値
普遍的な価値が顕著であること、それを判断するために登録基準が定められている。
唯一無二の存在
世界遺産は、ナンバーワンではなくオンリーワンの存在であること。

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