百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)、
などが評価され、2019年、文化遺産に登録された。
構成資産は、4世紀後半~5世紀後半に築造された49基の古墳群。
登録地域の面積は、構成資産 166.66ヘクタール、それを保護する緩衝地帯は 890ヘクタール。
百舌鳥・古市古墳群は、古墳時代の最盛期であった4世紀後半から5世紀後半にかけて、当時の政治・文化の中心地のひとつで、大陸に向かう航路の発着点であった大阪湾に接する平野上に築造された。世界でも独特な、墳長500m近くに達する前方後円墳から20m台の墳墓まで、大きさと形状に多様性を示す古墳により構成されている。墳丘は葬送儀礼の舞台であり、幾何学的にデザインされ、埴輪などで外観が飾り立てられていた。
百舌鳥古墳群
堺市内の東西・南北約4kmの範囲に広がる古墳群で、古墳時代には100基を超える古墳が築造された。4世紀後半から6世紀前半に造られた44基が現存している。
古市古墳群
藤井寺市から羽曳野市にかけて東西・南北約4kmの範囲に広がる古墳群で、巨大な前方後円墳から小型方墳まで120基を超える古墳群からなり、4世紀後半から6世紀前半に造られた45基が現存している。
登録された古墳群は、そのうち4世紀後半~5世紀後半に築造された49基(百舌鳥古墳群にある23基、古市古墳群にある26基)。
仁徳天皇陵古墳は、長さ486mの前方後円墳で日本最大の古墳。エジプトのピラミッド、中国の秦始皇陵とともに世界三大墳墓の一つに数えられている。
3世紀後半から7世紀前半に築造された墳丘を持つお墓、位の高い者や権力者の墓として盛んに築造された。日本各地に16万基実在する。古墳の形は円墳、方墳、上円下方墳、帆立貝形古墳などがある。また、前方後円墳、前方後方墳など山が二つある古墳もある。墳丘は葬送儀礼の舞台で幾何学的にデザインされ、外観は埴輪などで飾られていた。
現在の古墳は樹木で覆われ小高い丘陵のようになっているものの、築造当時は人工的な盛土。斜面に石を積んだり、貼りつけるように葺石(ふきいし)で飾られているものもあった。
登録された古墳49基のうち29基は宮内庁によって陵墓として管理されている(そのうち天皇や皇族の名前で登録されるのは7基)。かつて「仁徳天皇陵」と教科書に書かれていた古墳は、「仁徳天皇陵とされる古墳」あるいは古墳のある地名をもとに「大山(大仙)古墳」と記述されるようになった。今回の登録では「仁徳天皇陵古墳」と表記されている。
陵墓(りょうぼ)
天皇・皇后・太皇太后・皇太后を葬る陵と、その他の皇族を葬る墓。宮内庁によって管理されていて文化財と認めず発掘調査は実施されていない。陵墓は明治政府が古事記などをもとに被葬者を決め、国家の統治に天皇を利用するため天皇家の権威付けに使われてきた経緯がある。
世界遺産への登録に際しては、登録資産の周辺に充分な緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることが求められているものの、登録された古墳の多くは市街地に取り囲まれ、外濠のフェンスまで住宅がせまっている。古墳群をどう保護していくのか、観光地化によって周辺住民が平穏な生活を維持できるのか、周辺の市街地化を放置してきたつけがまわってきたといわざるを得ない。
百舌鳥・古市古墳群(百舌鳥・古市古墳群世界遺産保存活用会議)
JR大阪環状線・天王寺駅~(JR阪和線)~百舌鳥駅~百舌鳥古墳群へ
JR大阪環状線・天王寺駅~(徒歩)~近鉄線・大坂阿部野橋駅~(近鉄南大阪線)~古市駅~古市古墳群へ