登録にあったっての前提条件
- 国が世界遺産条約を締結していること。
- 登録をめざす物件は「土地や土地と一体になった物件(不動産)」であること。
- 登録をめざす物件は、国の法律で確実に保護されていること。
日本の場合、文化遺産は文化財保護法によって国宝、重要文化財、史跡、名勝、重要文化的景観などに指定されていること。自然遺産は自然環境保全法によって国立公園や都道府県が指定する自然環境保全地区などに含まれていること。
- 登録をめざす物件は登録基準の一つ以上を満たすとともに、真正性、完全性を満たしていること。
登録基準
文化遺産の場合は i ~ vi 、自然遺産の場合は vii ~ x のうちの一つ以上を満たしていること。複合遺産の場合は i ~ vi のうちの一つ以上と vii ~ x のうちの一つ以上を満たしていること。
真正性(Authenticity)
文化遺産では歴史的芸術的に本物であること、自然遺産では自然が手つかずの自然であること。
完全性(Integryty)
顕著な普遍的価値を証明するために必要な要素が全て含まれていること、長期的に保護するための法律などが整えられていること。
登録までの流れ(日本の場合)
- 登録をめざす候補を選定
文化遺産の場合は文化庁、自然遺産の場合は環境省か林野庁
- 政府は登録をめざす候補のリスト(暫定リスト)を作成しユネスコへ提出
- 政府は暫定リストのなかから条件の整った候補を推薦
推薦は1国あたり1年につき1件まで(過去の世界遺産委員会で「情報照会」「登録延期」とされた候補を含む場合は 2件まで)
- 推薦物件につき、ユネスコの諮問機関が現地調査
文化遺産については ICOMOS、自然遺産については IUCN に依頼 - 諮問機関は現地調査に基づき評価結果を勧告する
勧告は「記載(登録)」「情報照会」「記載延期(登録延期)」「不記載(不登録)」の4段階
- ユネスコ世界遺産委員会(年1回開催)で、諮問機関の勧告を基に審議し、記載(登録)の可否を決定
2020年審議からは上限35件まで、35件を超えた場合は世界遺産の数が少ない国の物件や国境を越えて複数の国にまたがるトランスバウンダリー・サイト、自然遺産、複合遺産が優先して審議される
- ICOMOS(イコモス)
- 国際記念物遺跡会議、1965年に発足した遺跡や建造物の保存を目的とする世界規模の非政府組織(NPO)。
- IUCN(アイユーシ-エヌ)
- 国際自然保護連合、1948年に各国政府、国際団体、民間自然保護団体によって設立された非政府国際機関。
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